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第一回東京自由律俳句会
日時: 2009/02/23 17:20
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

第一回東京自由律俳句会 (江東区芭蕉記念館)
平成二十年五月二十五日

【参加者】 アイウエオ順

渥美ゆかり(海紅、阿良野句会)・荒木 勉(自由律俳句クラブ群妙)・安門 優(海紅、しらさぎ句会)・池田常男(層雲・ぎんなん句会)・石川 聡(海紅、海紅社句会)・岩村操子(草原)・岩谷照子(海紅、しらさぎ句会)・大川崇譜(海紅、海紅社句会)・折原義司(海紅、かみなり社)・上塚功子(海紅、しらさぎ句会)・菅沼良行(層雲・ぎんなん句会)・北迫正男(響焔・蛮)・黒澤さち(海紅、かみなり社)・小山智庸(海紅、かみなり社)・斎藤 実(層雲・ぎんなん句会)・佐瀬広隆(層雲・ぎんなん句会)・重富架光(新墾・北九州句会)・白松いちろう(自由律俳句クラブ群妙)・新山賢治(自由律俳句クラブ群妙)・そねだ ゆ(草原)・田中里美(自由律俳句クラブ群妙)・田中耕司(海紅、海紅社句会)・田中むつこ・棚橋麗未(しらゆり句会)・都丸ゆきお(海紅、しらさぎ句会)・富永鳩山(自由律俳句クラブ群妙)・冨永順子(自由律俳句クラブ群妙)・内藤邦生(層雲・ぎんなん句会・もも)・中塚唯人(海紅、海紅社句会)・永松志都子・南家歌也子(層雲・ぎんなん句会)・那須田康之(層雲)・平岡久美子(層雲・ぎんなん句会)・増渕コク(海紅、かみなり社)・三浦桂芽(海紅、稲穂吟社)・箭内 忍(文學の森「俳句界」・吉川通子(海紅、海紅社句会)・吉多紀彦(ぎんなん句会)・湯原幸三(海紅、海紅社句会) (三十九名,太字は当日出席者)


 【挨拶に代えて】         海紅 中塚唯人

 この会は、「自由律俳句は有季定型俳句に比べ総合誌もなく、確固たるジャンルの確立もなされておりません。これまでの歴史的流れを見ても各結社がわが道を進むだけで横への繋がりはなく、これからもこれまでの現状維持の考えでは発展も望むべくありません。今後はお互いの独自性を認め合いながらも、鎖国的な垣根を取り払い、多くの人の作品を提示し、自由律界内において互に切磋琢磨することにより、その作品全体を高め世の中に提示する機会が必要と思います。そこでその第一歩として結社・個人を問わず、多くの自由律系の俳人の交流を図るべくこの会を計画しました。是非お気軽に、今回は各会の現状報告と顔合せを兼ね、多くの方々のご参加をお願い致します。」の呼びかけで五月二十五日、江東区芭蕉記念館にて開催されました。

 先ずは大きな目標を掲げ船出しましたが、このような結社・句会の枠を越えた試みは、これまでの自由律界にあって歴史上初めての事で、確かに第二次世界大戦末期の国家機関の弾圧に自由律界も弾圧を受け、『海紅』『層雲』『陸』の各誌は統合を余儀なくされ、『俳句日本』の名で三者共存される事がありました。しかし戦争も終わり西垣卍禅子の自由律俳句協会の設立の努力もむなしく『俳句日本』は解体され、それ以前のように自由律界は再び独自の道を歩み始め、その後、六十余年を経て自由律界は二度と手を繋ぐことはなく、その結果が今日の自由律の衰退をもたらしたと言っても過言ではないと思います。

 そこで今、我々がしなければならないか、と言うよりも何が出来るかという事を考えるに、先ずは東京に於いてどのような自由律系の句会があり、どのような指針の下に何時どこで活動されているかのネットワーク作りが必要かと考えます。『海紅』のホームページを見ても自由律俳句の潜在的愛好者はたくさん存在しているのにもかかわらず、その人達が自分の都合の良い時間に、自分の行ける句会がどこにどのようにあるかも分からなく、自由律句を目指そうにも総合誌もなくそれが出来ないのが現状です。先ずはそのネットワーク作りを早急にし、どこへでも誰でもが参加できる土壌作りをするのが先決で、それを将来的には全国規模に拡げていく事が必要と思います。

 先ずそれを東京から切り開きます。それがこの会の趣旨です。そしてこれは歩が遅くとも継続的になさせれねばなりません。
 十一月には同じ場所で「ぎんなん句会」プロデュースによる「第二回東京自由律俳句会・勉強会」も開かれます。
 自由律句の評価はまちまちです。多くの作品を提示し、結社、個人を超え多くの人から評価される、それが良い句を作る大きな要素だとも思います。

 今、この船に乗り遅れれば二度とこのような船の出船はなく、大海原の孤島に取り残されます。そしてこの船に同乗した皆さんは、ただ同乗するだけではなく各自が舵取りとなり、同じ航路を進む事を目指そうではありませんか。それが出来る最後のチャンスです。そして数多くの人が船長となり、この船に乗り合わせた事が大きな喜びとなることがこれからの切に望む所です。

第一回東京自由律俳句会
平成二十年九月一日発行
編集責任者 海紅 中塚唯人
発行所 〒一五四―〇〇一二
東京都世田谷区駒沢2―28―14   電話・FAX 03―3422-1696
  メールアドレス tadato8008@nifty.com
メンテ

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第一回東京自由律俳句会記 ( No.1 )
日時: 2009/02/23 17:22
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【第一回東京自由律俳句会記】 海紅 吉川 通子
 

 あいにく朝からの雨だったが、江東区芭蕉記念館会議室でこの日を迎えた。私たち海紅社のメンバーは午前十時、清澄白河駅に集合し会場に向かった。雨はさらに激しくなり遠来の方々の足が心配だが、街路樹の山法師は天に向かって花を咲かせ、まるで皆さんのお越しを背伸びして待っているようであった。
 お手伝いに「しらさぎ句会」の上塚功子さん、岩谷照子さん、「ぎんなん句会」の平岡久美子さんが加わって下さり、頼もしい限り。会場は、お互いの顔が見渡せるようにと机を口の字の形にならべ自由律句会らしく上下の席は作らない。本日の打合せ、役割分担をして、各自仕事につく。一通り準備が出来た所で付近(萬年橋、清澄橋、芭蕉稲荷、芭蕉史跡展望公園など)を散策しながら昼食に向かう。大江戸線森下駅近くの「京金」という有名な蕎麦屋を目指したが休業中に一同がっかり、代わりのお弁当で昼食をすませた。
 十二時過ぎには三々五々、遠くは山口、浜松、栃木から三十一名の方が集まられた。お茶には海紅の大会では定番、上野は碧梧桐ゆかりの「うさぎや」のどら焼き、上野在住の功子さんが用意してくれたものが添えられた。

 午後一時より海紅、石川聡さんの司会で開会。最初に自由律の俳句に携わるものが今出来ること、まずは東京近辺での自由律系句会のネットワーク作り、そこから外へ向けて自由律句を発信する一歩にしましょう、と海紅社・中塚唯人さんの挨拶で始まった。
 続いて参加者の自己紹介で顔合わせ、話しているうちに緊張も解け、どんどん打ち解けられたのは句会ならではのことだ。

 そして句会に入る。披講は中塚唯人氏。前もって二句ずつ送句された合計七十句から各自七句選句、うち一句を特選句としてその感想をあらかじめ送っていただいたものをもとに、良いところを中心になるべく多くの人に語っていただいた。自由律という共通の土俵の上で取り組んではいるが、個人はもちろんそれぞれ句会の特徴もあり、たくさんの個性きらめく句を目にすることが句会の醍醐味でもあり、それらの句について生の意見が聞けたことが大変勉強になった。そしてここが一番意見の違いが出たところであるが、得点の多く入った句は、やはりいいものはいい、良い句であることを認めざるを得ない。新鮮な発想、思わず微笑むユーモア、素直な感性が表れている作品などが得点が高かったようだ。
 コーヒーと、これも定番の鎌倉・豊島屋の鳩サブレで休憩をはさみ、各句会代表者により、皆さんの自由律句への取り組む姿勢や活動状況など活発な発表があった。

 最後にこの会は今後、春は句会、秋は勉強会を予定し、次回は十一月二十三日(日)に「ぎんなん句会」のプロデュースで同じくここ芭蕉記念館で、『第二回東京自由律句会・勉強会』を開催することが決まった。もっともっと話し合いや討論もしたかったが時間となり、次回の再会を約束して閉会となった。
 会の終了後に配られたアンケートの一番多かった感想からは、今日この場でたくさんの自由律人と出会え、その熱い思いを聞けたことや、この会を今後も継続的に開きたいといった希望で締めくくれたことは、この会の大きな成果であったと思う。


  【懇親会記】           海紅 石川  聡

 本会も無事おひらきになり、芭蕉会館近くの深川めしで有名な割烹「みや古」に会場を移し、五時過ぎより有志による懇親会が始まりました。さっそくあの火頭改め鬼平も食べたという?磯の香りムンムンの深川めしのセットを注文。新潟特産の竹わっぱに盛られたアサリ、ねぎ、油揚げの炊き込みご飯、それに添えられたお刺し身、おひたし、吸い物、お新香に舌鼓を打ちます。

 「ぎんなん句会」の斎藤実さんの乾杯の発声のあと、いよいよお酒も入って会場は盛り上がります。午前中まで見ず知らずだった他人が、今では誰しもが胸襟を開き子供のように口から泡を飛ばし俳句の論議です。大切なのは自分の意見を主張するだけでなく、多くの人の意見に耳を傾けることです。そこからさらに疑問が生まれたり、逆に語ることにより疑問が解けたり、これまでに経験できなかったことが学べます。それがこうした会に参加する大きな意義とも感じました。

 そして会もいよいよ佳境に入り、どこからとも無く「箸袋句会」の始まりです。紙と書くものさえあればいつでも何処でも即興句会ができます。一人一句、お膳に乗っていた箸袋に書き、これも「ぎんなん句会」の萱沼良行さんの軽妙な披講で一句一句読み上げられます。賛成もあればヤジも飛び交い、もう一同お腹を抱え笑いが絶えません。句会はこうでなければいけません。楽しくてまた是非とも参加したいという雰囲気が大切です。きっと皆さん次回も参加してくれるはずと確信しました。

 最後に皆さんの健康と十一月の勉強会での再会を約して、遠くは山口からお出で頂いた「自由律俳句クラブ群妙」の富永鳩山さんの万歳三唱で締め括りです。

 皆さん本当にお疲れさまでした。そして有難うございました。
メンテ
【第一回東京自由律俳句会投句集】 ( No.2 )
日時: 2009/02/23 17:25
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【第一回東京自由律俳句会投句集】
        (番号の後が得点数です。五点以上を記載しました。)
1  カラスもせきこむ形見分け     重富 架光
2 5 氷雨しんしん 君の語尾をもやす     〃
3  終世の古傷春泥の靴洗う    小山 智庸
4 16 庶民はまじめ苺ぶつぶつ赤い嘘     〃
5  雨戸閉める空に烏の外郭 岩村 操子
6  前略二十年の空白埋める酒と 〃
7  浜に昆布干す万葉の女の乳房 那須田康之
8  桜の宴濁り酒手打ち足鳴らし     〃
9  ちちのさくら兄のさくらと散るさくら     棚橋 麗未
10 8 花の雨ことばの裏をふくらます      〃
11  風のため息を受けとめて桜ちる     黒澤 さち
12 6 なんと言うことはないただ春愁      〃
13 5 強がりが前のめり      田中むつこ
14  まな板に影の存在そのまま      〃
15  この花もこの花も優しさかえしている     渥美ゆかり
16 13 土のぬくもりを腹這いたんぽぽ      〃
17  ストレスって何無邪気な顔で酔う     萱沼 良行
18  まいりましたあの爆弾低気圧     〃
19 14 やりたいことたんとあっていのちの残高    池田 常男
20  さくら心躍りからだしかと老いを感じ       〃
21  石楠花の紅ゆるがず春の正面   田中 耕司
22  手錠の五輪ダライ・ラマ無色透明         〃
23  赤い旗に飲み込まれてチベット旗小さい    そねだ ゆ
24  政治とは別という聖火の道に血の色の国旗     〃
25 9 自由に染まれひばり垂直に鳴く     富永 鳩山
26  やわらかに蝶 花はまっすぐに花になる      〃
27 9 夕日が落ちたら私の心もすとんと落ちた    永松志都子
28  トビ悠々と大空を思うまま 〃
29  夕空あかく小林牧場の枝垂灯る       白松いちろう
30  応援の声を舞う桜花弁二つ三つ     〃
31  フッコを釣り上げ君の春の最後の抵抗     中塚 唯人
32  花だいこんに見送られガッタンゴットン電車は動き出す〃
33 5 初恋遠くなり今日のクリームソーダ     湯原 幸三
34 7 恋がひとひら水面ゆれている       〃
35  落ち葉安らかに土になる日 新緑     吉多 紀彦
36  今日の何があって鶯の初鳴き       〃
37  風吹くたびに 父かな母かな         新山 賢治
38  まもなく轢かれる路面のタンポポ       〃
39  ふたたびの時なけれどさくらまたね      安門  優
40  はるか一隅に言霊の白き花咲いている       〃
41 16 カーナビが妻よりおしゃべりな春の道     内藤 邦生
42 10 よろこびはたわいもないことさくらさく      〃
43  柿若葉茂り老いた木を隠す     都丸ゆきお
44  赤い花白い花十坪程の庭緑も       〃
45 5 満天星の花いっせいに思いが灯ります     南家歌也子
46  甘えられずシップだらけの肩と心         〃
47  辰己の空へ夢いっぱいのアドバルン      平岡久美子
48  真実のない世につくしつんつん背を伸ばす     〃
49  辛夷の大樹諍いの無い六枚の花弁開ききり   三浦 桂芽
50  納豆を掻き混ぜる藁苞の香が粘り         〃
51  カントウタンポポいっぱいの真ん中へ駈け出した上塚 功子
52  牡丹の花のいのち受ける一瞬         〃
53  赤芽朝日に燃えてる駅に小走り        岩谷 照子
54  控えめがいい花水木の色濃い      〃
55  雨の轍を切ってゆく 環七は青信号      斎藤  実
56  桜しべ降る 狂乱終って寂しいまち      〃
57 6 絵手紙から食み出す桜の自在     増渕 コク
58 8 小さなわだかまり花筏に託した        〃
59 6 窓の汚れ拭いて届いた透明な春陽       吉川 通子
60  緑の隙間から溢れた光り掌からもこぼれ      〃
61  地球と背中あわせで空が大きい        田中 里美
62 12 追伸に言いたいことを書いている       〃
63 亡母の日は白ワイン      石川  聡
64  来し方カタバミ片隅きいろ     〃
65  ふきのとう場違いを春に変えるゲレンデ    大川 崇譜
66 12 ゆび三本でつまむハル    〃
67  霧笛の音失せ夜の海に霧が深まる       佐瀬 広隆
68 7 路を横切るとかげの尻尾も急いでいる      〃
69  いちずに真っ直ぐあれあれ曲り角       折原 義司
70 7 桜全開いまこの空間は俺のもの        〃
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【大会句選評】  ( No.3 )
日時: 2009/02/23 17:37
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【大会句選評】            中塚 唯人

 大会句には三十五名の投句をいただき、それに基づき投句された方全員に事前に選句七句と特選句一句を選んでいただきました。従って句の番号の次に選句一点、特選句は二点とし点数を記載し、上位十位までの句を紹介します。特選句には各人選んだ理由を書いて貰いましたのでそれに基づき選評を進めます。
 自由律句は本来自選が基本であり点数を付けるのはナンセンスとも言われますが、よく自由律を今後どう進めて行けばいいかという問いに、簡単に「良い句を作ればいい」という答えが返ってきますが、それではどのような句が良い句だと言う問いには明確な答えが返ってきません。少なくともある特定の人の趣味で選ぶのではなく、選者の好みや句会などの座の意識に左右されない、不特定多数の数多くの意見の反映が必要だと思います。実際はさらに多くの一般大衆の選まで加えなければ本当の意味での評価は出来ないとも思いますが、今回は結社や句会の枠を超えた色々な意見が繁栄されています。自由律句は作るだけでなく、発表の場を得て、多くの評を受ける事により進歩とその価値が生まれます。その意味でもその評にいたずらに左右される事は望みませんが、少なくとも良い句を作る一助にはなると思います。

 先ず一位に輝いた句が二句あります。これが参加者全員で選んだ『第一回自由律俳句会大賞』とも言える作品です。

16 カーナビが妻よりおしゃべりな春の道      内藤 邦生
この句のユーモアな点に多くの票が集まったようです。人の情 に触れた重い句も人の心を大いに動かしますが、ユーモアも心を 揺さぶります。確かにカーナビの声はうるさい時もあります。奥 様の声もそれと同じような時がありますが、どちらも大切な声で す。カーナビという新しい言葉を俳句に持ってきたのもお手柄の ようです。

16庶民はまじめ苺ぶつぶつ赤い嘘   小山 智庸
この句を選ばれた多くの意見に痛快さがあります。世の中の人がみな今の世相に不満を持っています。それに明るく痛快に批判を与えています。苺の「つぶつぶ」と「ぶつぶつ」を掛けた所にも巧さがあり、俳句の持つ伝統的な滑稽さも併せて持ち人気抜群でした。

第三位

14 やりたいことたんとあっていのちの残高    池田 常男
この句は寂しさを感じながらも、前向きな姿勢が感じ取れます。確かに先は短くなってきましたが、それだからこそ「残高」が大事です。今回一番若い湯原幸三君がこの句を特選句として取りました。この気持ちは誰しも失いたくなく、それが共感を得たと思います。

第四位の句です。

13 土のぬくもりを腹這いたんぽぽ     渥美ゆかり
 この句には「腹這う」としたらとの意見もありました。作者に お伺いすると、「それでは腹這ってるのはたんぽぽ」だけになってしまうとの答えでした。たんぽぽと共に私も腹這っている、そう言った思いからです。それには皆さん大賛成。これも句会ならではの効果です。名詞止めにすると収まりすぎ動きが無くなると言う欠点もありますが、この句の場合はそれが余情を醸し出して成功しています。

第五位の句

12 ゆび三本でつまむハル 大川 崇譜
 この句に多くの票が入ったのは意外です。この作者は海紅でも新しい感覚を持ったトレンディな作者として注目を浴びています。コンピュータ関係の仕事をしており、海紅ホーム頁でももばさんとして活躍しています。さて問題は「ゆび三本」で何をつまんでいるかです。正解は寿司です。指三本でつまむのですから、そう大きなものではない、本人はそれは将棋の駒か寿司だろうとヒントを与えているつもりです。春の旬の種の寿司を食べているのです。それが分かるかなと句の裏で笑ってます。謎解きのようでわからんものは句ではないという人もいますが、必ず作者に北を作った心持があります。総てを語らない、その物語性も今後の句の新しい生き方かも知れません。一番多くの時間を掛けた作品でもありました。

第七位の句は今回二度目の登場の作者です。

10 よろこびはたわいもないことさくらさく    内藤 邦生
 そうなんです。喜びなんてそんなに大きな事ではないのです。小さな喜びでもたくさん持ってる人が勝ちです。そう思う事の大 切さを知らされる句です。そしてそれを見つける事、それを素直に感じ取る事こそ人生ではないでしょうか。羨ましい事です。

第八位です。
9 自由に染まれひばり垂直に鳴く     富永 鳩山
「垂直」と言う言葉に高さを感じます。そして勢いと力も。この句はこれからの自由律を感じさせます。見事に仮託された句として共感を得ました。

第九位の作品。

9 夕日が落ちたら私の心もすとんと落ちた    永松志都子
 この句には巧さは感じられません。切れもなく散文的で綴り方の様な作品です。しかしそれだからこそ素直に受け取れます。句は浜の真砂ほどあります。類句性を避けるためにテクニックも大いに必要ですが、素直な作品はそれだけに素直に入ってきます。これも忘れてはいけない事です。

 次に十位の作品二句です。

8 花の雨ことばの裏をふくらます     棚橋 麗未  
 この句は典型的な巧さの光る句です。「花の雨」この措辞も見事ながら、「ことばの裏をふくらます」は中々出てこない言葉です。この辺に年輪と成熟を見ます。日本語には多様性があり、一つの表現にしても色々方法があります。言葉を選ぶ大切さを教えられた作品です。

8 小さなわだかまり花筏に託した        増渕 コク
この句は類型句がたくさんありそうです。「花筏」でなくとも 他のものでも置き換えられそうです。それでもこの「花筏」はぴったりはまっています。桜の句は多々ありますが中々ぴったりはまった句はありません。この句は誰しもが持つ桜の既成概念を巧く利用しています。もちろん定型句ではありませんが、定型の良さを活かした句だと思いました。

 以上が十位までの句です。句会ではもう少し取り上げたのですがこれくらいで終わります。もっともっと皆さんにお聞きしてこの句をと言う作品も取り上げてみたかったのですが、時間の関係上全部は出来ませんでした。
 次回にはさらに多くの作品を取り上げ、作者の思いも含め参加者全員に語って貰い、大いに話しあいたいと思います。
 先ずはこれまで。
メンテ
【各句会の紹介】 1 ( No.4 )
日時: 2009/02/23 17:46
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

1.名称:阿良野

  設立(創刊)時期:昭和二十七年(始祖雪腸の曠野社は大正十           四年)
  主宰:渥美ゆかり
  師系:永井治雄(始祖は加藤雪腸)
  現在のおおよその会員数:八名
  会員の男女比:女性十割
  会員の平均年齢:七十歳
  所在地 〒四三一―一一一二 
      静岡県浜松市西区大人見町12ー360 
                 渥美ゆかり
電話・FAX番号 053―485―4507
会費 年間六千円(年二回に分けて集金)
入会方法 随時
主に参加されている団体  「海 紅」

2.句会のモットー。
和の心
明るい句会
人の意見も聞ける素直な心
思いやり
努力

3.活動内容。
定例句会は主として月の第二木曜日。会場は主として浜松文芸館。
刊行物は年一回、「阿良野句集」を刊行。(自選19句。現在は人手不足のため、二年に一回自選39句)

4.指導方針。
感動を第一に、次にテクニック。
解りやすい句をモットーに、その奥の詩情の広がりを大切に。
個性を大切に。


1.名称:海紅社句会

設立(創刊)時期:昭和十七年(東京都世田谷区駒沢に一碧楼         が居を構える)
代表:中塚 唯人
師系:中塚一碧楼
現在のおおよその会員数:十名
会員の男女比:男性五割、女性五割
会員の平均年齢:57歳
所在地 〒154ー0012
    東京都世田谷区駒沢2―28―14
                中塚唯人
電話・FAX番号 03―3422―6962
海紅ホームページ  http://www.kaikoh.com
会費 月五百円
入会方法 随 時
主に参加されている団体 「海 紅」

2.句会のモットー。
大正四年河東碧梧桐により、当時の最革新俳句作家の中塚一碧楼を編集責任者として創刊された『海紅』の、全国十一社の内の東京句会。
年令、経験、会費等による一切の序列はなく、俳句においては何人もお互いの自由を尊重する。
句会に於いては誰もが自由に自分の意見を堂々と述べ、納得するまでとことん話しあう。
作品に於いては横並びになることなく、個性の煌めきを重んじる。

3.活動内容。
毎月第四日曜日、上馬地区会館・弦巻区民センターなど、田園都市線駒沢大学駅周辺にて定例句会開催。吟行・提携句会も積極的に行い、十二月は「一碧楼忌やみ汁句会」で締め括る。

4.指導方針。
半教半学の精神。年長者は若者から、若者は年長者から、初心者は経験者から、経験者は初心者から、すべてが常に学ぶ精神を忘れずに切磋琢磨する。


1.名称:かみなり俳句社

設立(創刊)時期:昭和八年
主宰:小山 智庸
師系:荻原井泉水―中塚一碧楼
現在のおおよその会員数:十名
会員の男女比:男性四割、女性六割
会員の平均年齢:六十五歳
所在地 栃木県さくら市氏家1175―42
小山 智庸
電話番号   028―682―4694
FAX番号 028―681―0228
会費 月千円
入会方法 随時
主に参加されている団体  「海 紅」

2.句会のモットー。
先ず、パッション・アクション・ビジョンをベース に、現場に立ち会って暮らしている現代を、現代の ことばで詩う。読み手から読み手に伝わる作品づくりを目指す。

3.活動内容。
毎月一〜二回定例句会を催し、吟行など行い、地方の結社との交流会を通じて、より広い視野に立って の二次元、三次元の分野を詠みたい。

4.指導方針。
奇を衒い、ことば遊びや、やたら技巧を振り回すことなく、新奇を狙わず、未来指向の新しい風の精神文化を詩う方向を目指したい。


1.名称:北九州句会

設立(創刊)時期:昭和三十年十月
主宰:一人一人が主催
師系:吉岡禅寺洞―小川素光
現在のおおよその会員数:十六名
会員の男女比:男性六名、女性十名
会員の平均年齢:?歳
所在地 福岡県遠賀郡水巻町 重富 架光
電話・FAX番号   093―201―2906
会費 その都度大体千円(昼食付)
入会方法 特に定めなし(同人は全員の推薦)
主に参加されている団体 「新墾」・「あまのがわ」・「層雲」・「層雲自由律」・「主流」など。

2.句会のモットー。
@指導者なし
A総てが自由討論 
B作者の意図、作意、心境を重視
C作者や批評者が納得の上、訂正。 
D決定的・添削などなし。
E持ち寄り+即題句会を併用 
F問題句は次会で再討議    
G運営・作品に関する限り何事も遠慮しない。   
H新墾及び各句会(四カ所)共、教師・医師以外は先生呼ばわ りしない。しても返事をしない。   
I個人尊重第一主義

3.活動内容。
第三日曜日でわが家を中心に公民館・公共諸施設・お寺やお宮各自宅の持ち回り。各自作品と他誌作品の同類句の比較検討。毎月交互に室内外の句会、吟行を実施中。その他思いつき開催。

4.指導方針。
・とにもかくにも自分詩を押し進める。
・他人の意見はあくまで参考。
・素直に聞いて素直にすてる。
・作品に同調はない。
・あくまでも口語・自由律を通す。
メンテ
【各句会の紹介】 2 ( No.5 )
日時: 2009/02/23 17:48
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

1.名称:自由律俳句クラブ群妙

設立(創刊)時期:平成十九年
主宰:富永鳩山
師系:な し
現在のおおよその会員数:百名
会員の男女比:男性六割、女性四割
会員の平均年齢:六十歳
所在地 山口県防府市東三田尻1―5―29
             富永 鳩山
電話・FAX番号  0835―23―2399
群妙ホームページ  http://www.gunmyo.net/
会費        年会費 一万円
入会方法      自由
主に参加されている団体  特になし

2.句会のモットー。
  自由律俳句を多くの人々に理解していただく運動体。

3.活動内容について教えてください。
俳誌「自由律クラブ群妙」を母体として、防府市立図書館での講座、FMラジオやNHK山口テレビ番組「自由律俳句らぶ」、その他講演を通して、自由律の短詩型文学としての理解を深めている。

4.指導方針について教えてください。
優れた自由律の紹介、解説につとめ、特に初心者の句を大切にして共に考える。興味を持っていただくことが基本。永年自由律は俳句でないと、 山頭火の生誕地で蔑視されて来たことが逆の力となりました。


1.名称:しらさぎ句会

設立(創刊)時期:昭和五十四年
主宰:都丸ゆきお
師系:中塚一碧楼・仲野利三郎
現在のおおよその会員数:六名
会員の男女比:男性5割、女性5割
会員の平均年齢:六十五歳
所在地 東京都練馬区大泉町6―10―6
                  都丸ゆきお
電話番号  03―3924―9238 
会費  月五百円
入会方法 随 時
主に参加されている団体   「海 紅」

2.句会の指導方針、モットー。
明るく楽しく、それぞれの作品を尊重すること上下の隔てなく自己を高め合う。

3.活動内容。
毎月第三日曜日、中野白鷺高齢者会館

4.指導方針。とくになし。


1.名称:白ゆり句会

設立(創刊)時期: 平成十七年一月
代表:棚橋 麗未
師系:内田南草
現在のおおよその会員数:20名
会員の男女比:男性三割、女性七割
会員の平均年齢:七十歳
所在地 東京都新宿区高田馬場4―40―13―704                     棚橋 麗未
電話・FAX番号 03―3361―1868
会費 千円
入会方法 随時
主に参加されている団体 「旧感動律同人」・「青い地球」、「眉同人」他

2.句会のモットー。
内田南草先生の「感動律」終刊後に、旧感動律同 人有志で同好句会をスタートしたものです。俳句 形式にとらわれず、感動を平明な言葉で表現する和やかな会です。

3.活動内容。
毎月第二日曜日午後1時より、高田馬場駅前稲門ビル中二階「ロマン」喫茶店。参加費 千円。作品3句を第一日曜日まで棚橋宛ご送付下さい。(清記の都合)。なお当日一句をご用意下さい。

4.指導方針。 別になし。


1.名称:草 原

設立(創刊):平成十三年一月前身はさがみ野会)
主宰:随句社 北田 傀子
師系:層雲 荻原井泉水
現在のおおよその会員数:二十五名
会員の男女比:男性四割、女性六割
会員の平均年齢:  ?  歳
所在地 神奈川県座間市座間2―21―12
電話・FAX番号  046―251―0682
会費    五百円
入会方法    メール申し込みなど
主に参加されている団体 特になし

2.句会のモットー。
荻原井泉水が確立した自由律俳句の原則―「詩性」と「俳句性」を兼ね備えたもの、それは、種田山頭火・尾崎放哉などの句を形作る原則を目指す。
普通の人の心に響く日常語でなり、ものをもって想いを述べる点で、観念の直接表現や言葉遊びなどを排して、西洋詩から流れてきた一行詩や現代川柳と一線を画し、句の内容を重んじる点で、趣味に堕ち形式に流れる定型俳句などからの俳句改革文芸運動をもって真っ当な自由律を提唱した井泉水や一碧楼 の精神を継承する。

3.活動内容。
イ、定例随句会開催日:毎月第四土曜日、神奈川県秦野周辺会  場、俳誌「草原」
ロ、定例随句教室開催日:毎月第二土曜日、横浜松坂屋→現在 毎月第一土曜日、桜木町ぴおシティB1銀座亜紀枝 刺子の店併設アオートカルチャー教室

4.指導方針。
イ、詩は頭で作らない、感動にひらめいた想いを素直に表現する。
ロ、ものをもって想いを述べる。観念を直接表現するのは西洋詩であって、日本文芸のよさをもつ自由律(随句)ではない。
ハ、言葉遊びは文芸ではない、自己表現の大いなる遊びを目指す。 
ニ、顕信・放哉・山頭火などの優れた作品の原則を学べば、誰でも人に見せられる句ができます。


1.名称:桃の会

設立(創刊)時期:平成十三年四月設立、
              「もも」創刊
代表:内藤 邦生
師系:荻原井泉水・渡野辺朴愁
現在のおおよその会員数:十七人
会員の男女比:男性四割、女性六割
会員の平均年齢:60歳
所在地 〒424―0912
    静岡県静岡市清水区殿沢1―8―9 
              内藤 邦生
電話・FAX番号   054―335―5347
会費 年額 二千五百円
入会方法 随時
主に参加されている団体 「層 雲」

2.句会のモットー。
○自由律俳句の基本を理解した上で自由に詠む。
・「自由律俳句への手引き」渡野辺朴愁編(54P)を配布。
・入会一年目は個人的に指導する。
・これ以降は希望が在れば指導するがそれ以外はしない。

3.活動内容。
・誌上句会誌「もも」発行(毎月一日発行、)A4、10P、現在85号)当月五句出句、毎月十句互選。
・年間句集の発行(現在第七句集、一人十八句自選)
・句集発行記念句会(年一回)

4.指導方針。
・自由律俳句を理解し自由に詠む。
・他人の句を通じて学ぶ。
・添削はしない。
メンテ
【大会を終えて】 海紅 田中 耕司 ( No.6 )
日時: 2009/02/23 17:50
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

  【大会を終えて】       海紅 田中 耕司

 平成二十年五月二十五日、東京深川の芭蕉記念館において第一回東京自由律俳句会が開催されました。事前に寄せられた作品は三十五名、七十作品、当日の参座は三十一名の盛会でした。

 三十五名の互選による投票の結果、最高得点は十六票を獲得した作品が二作品でした。この得票が多いのか、少ないのかはどちらにも考えられますが、私の個人的な感じでは高得点の作品には共通してなんらかのユーモアがあるように感じました。それぞれの出自によって言葉の選択の仕方や、使い方の違いなどを感じ、それは新しい発見でもありました。海紅では、この使い方はしないなと思いながら、目から鱗という感覚になった作品もいくつかありました、これはもしかしたら海紅独特の言葉の選択や使い方に、私と同じような感じを持つ人達が居たのかも知れないと思えます。有季定型俳句のように共通した形をもたない自由律にとっては、このような交流は非常に有意義であったと思います。そして、この会をきっかけにもっとフランクに結社間の交流が行われるようになれば、より充実した自由律を実現していけるのではないかと感じました。
 この東京自由律句会を、第二回、第三回と続けていくために、なにをすべきなのか、なにが出来るのかを、いま真剣に考えなければこの会を無駄なものにしてしまいかねません。東京自由律俳句会をただの親睦会で終らせては、これからの自由律に希望はありません。そして将来的には、この自由律俳句会を自由律句会とし、オーバーにいえば、俳句との訣別とまではいかなくても自由律は俳句ではない、という言葉を何ら恐れてはいないと表明したいものです。東京が、関東に、そして全国に広がって行く日は近いと感じています。


 【第一回自由律俳句会に出席しての感想】
                ぎんなん句会 佐瀬 広隆

 はじめての、東京自由律句会でした。中塚唯人氏の「まずは、あつまってみる」という行動からの出発でした。小生にははじめての幾つかの結社がありました。こうした結社が一同に会する意味もありますが、こうした多様性を活かして、いかにして自由律俳句の俳句としての位置を確立して行くかが大きな課題ではないかと思いました。
 短い表現の中に詩感を韻律をもっていかに鮮烈な表現ができるか、それができなければ、俳句結社を集結させた意味はありませんし、集まること自体も無意味になります。集まっているうちになんとかなるとか、数を集めれば勢力が増え社会での発言力が増す類の、政治的な行動ではあまり意味はないと考えています。
 我々の小さな集団でも俳句に対する考え方は、さまざまです。このさまざまを長所として捉えるについての自由律俳句にまたその集団に、未だ答えがありません。ゆるやかな規範をもち、その上で思い思いの自由な表現ができる場をつくるのは自由律俳句結社では容易です。そうした特質を活かし、自由に創作できる場が造れれば何かきっと生まれてくると思います。しかし、自由律結社でも、その俳句または結社が束縛ばかりのものであれば、それは異質なものとして考えねばなりません。
 定型律は五七五で季語があれば俳句として認め、その枠を順守して俳句結社を構成します。決められた枠の中での自由です。籠の鳥の中での俳句表現は自己に矛盾しないものなのかという素朴な疑問がいつもわいてきます。その結社の内部では良しとの答えが出ているとおもわれていますが、月並み、類創のジレンマを抱え実のところ答えがないのではと思います。つまり、俳句という地平では、程度の差はあれ同じ悩みを抱えていると思われます。
 考えを異にする我々は、この多様性を活かし、俳句を語ることから始めればと思います。自らの旗にただ盲従するのでは定型のそれと同じジレンマに陥るでしょう。そうではなく、自らの感性に従い、自らの旗へも目をむけてその良し悪しを考える必要があると思います。政治的な意味での議論ではなく、素直な感性に裏打ちされた俳句の議論ができれば、真の意味でのゆるやかな規範ができ、大きな一歩が踏み出せると考えます。
 この一歩を踏み出すことを始めた海紅社の皆様に敬意を表します。また同質の思いで参集された皆様の真剣さに敬意を表したいと思います。持続させ真の俳句に近づいて行ければとの思いです。
                ぎんなん句会 平岡久美子

 第一回の「東京自由律俳句会」が熱気に包まれて終わりました。完全燃焼をしたというのが正直な感想です。
 二年前に東京で口語俳句フォーラムが開かれ、その折中塚さんとご一緒することができ、「ぎんなん句会」への出席をお願いしましたところ直ぐにお出で下さいました。その後「海紅」の皆さんとも交流が続く中、東京周辺の自由律の仲間が集まり、横の連携を持とうじゃないかという話が出るまでに、さほどの時間がかからなかったように記憶しています。
 話が決まってからの中塚さんの行動力にはただただ驚くばかりでした。会場を押さえ、横の連絡を取りと精力的に動いて下さいました。それでも初めての試みですから、どうなることかと固唾を飲み込む思いでしたが、いざ蓋が開くと全くの杞憂であり、結果は冒頭の通りで恐れ入ってしまいました。
当日は遠く山口県から「群妙」の富永鳩山さんが「自由律俳句を応援する」という約束通りに、沢山の仲間を引き連れ参加して下さったのです。
 「海紅」「ぎんなん」はもとより「白百合俳句会」や他にも初めてお目にかかる方達もいらっしゃいました。普段の交流の中でも「自分の所属している仲間たちと句会を持つ方が、気心も知れ楽しい」という意見が出ます。そしてそれはその通りなのですが、それでは自由律俳句は消滅することになると私は考えます。
 人と人がこすれあってこそ、火花が散り、それがやがて火になり、大きなエネルギーを生むことになるのではないでしょうか。私達が先人達が遺して下さった自由律俳句を引き継いだのですから、今度は次世代に繋ぐ責任があります。
 それには今回のような会を通して、自由律俳句の存在を大勢に向けて示していかなければと考えます。
 私達は一人でなく、沢山の仲間を確認することが出来ました。これをふみだいにして益々研鑽を重ねていくことで、夢が単なる夢でなくなる日が来る事を信じようではありませんか。
 次回はもっともっと参加者が増えますように願って止みません。
メンテ
「自由だから自由律なのか」 草原 そねだ ゆ ( No.7 )
日時: 2009/02/23 17:53
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

「自由だから自由律なのか」 草原 そねだ ゆ

 戦後は自由で民主的な社会になり、そう教えられ、マスコミもその前提です。しかし、日本人は、自分で議論を重ねてここに到ったわけではありませんから、少し歪な理解をしていると感じます。権利は主張するけれど、それに伴う責任や義務については忘れがちです。自由を履き違えているといわれていますが、個々がそのことを意識することなく漫然と過ごしてきていますから、時々矛盾が生じて違和感を覚えたり、残念に思うことがあります。

 自由で民主的な社会なのに、定型俳句はその封建制にも拘らず隆盛を保っています。一方そうした俳句の矛盾を改革するために興った荻原井泉水や中塚一碧楼が始めた新傾向俳句とその発展系である自由律俳句は、世間の片隅に置かれて見捨てられているように思います。

 去る五月二十五日、江東区芭蕉記念館で行われた東京自由律俳句会が行われ、こうした自由律の現状を打破するために、それぞれ主張の違う結社・会派が分散している力を結集して、小異を捨てて大同につき自由律の発展を図るための企画であると、その趣旨を評価して参加しました。

 それぞれの会派の主張や自由律俳句観は違うと思います。しかし、それぞれ主張は違っても、種田山頭火や尾崎方哉など、自由律俳句史に残り社会的にも認知されている作家やその作品について、概ねどなたも評価していると言っていいと思います。つまり自由律俳句の文学的質についての共通の評価基準があるということだと思います。

 つまり、各会派の主張の違いというものが、文学的意見の違いではないのではないかと私には思えます。
 また、各会派の文学的評価の基準の相違がないということは、例えば、文学的追求について発展的議論ができ、そのことで、かつて輩出したような自由律俳句の有力な作家を生み出すことができ、そのことで、自由律俳句の今の社会での注目や関心を集め、自由律俳句の再興を期待できるということです。

 そこで、各会派は、己のみが正しいと主張することや、会員を増やすために闇雲になることでもなく、また自由律俳句は自由勝手に作れるのだと基準を曖昧にするでもなく、そうしたことが、かえって自由律俳句の再興を阻み、損なうものだと私は思います。

 もちろん、趣味で自由気ままに作りたいという、小学校で習う自由詩のような主観を主とした形を取る方がいても、それはかまいません。しかし、自由律俳句にも文学的基準があり、単なる思いつきで作ったものや努力や研鑽もなく人に見せられる作品や天才が生まれるべくもないことは、最低限確認をしていただく必要があると思います。

 例えば、「草原」グループでは、自由律俳句の文学的基準について議論を重ね、「俳句性」あっての自由律俳句であることから、「西洋詩」から「新体詩」を経て今日に到った「自由詩」が主観を容認するに対して、主観を直接表現せず、ものを持って心情を表現するなどの原則を重んじます。さもないと、何も自由律俳句である必要はなく、「一行詩」の会派でおやりになればよいことです。商業的コピーもどきや言葉遊びは、それはそれで大衆文化としてそうした分野で発表されればよいことで、山頭火や方哉のような文学的自由律俳句を目指すものなら「俳句性」と「詩性」を両立させた方向を目指すという共通の思いを集めるべきと思います。それが、あれほど真剣に文学性を追求した井泉水や一碧楼を裏切らない道だと私は思っています。

 自由律俳句は、定型俳句と違って、季語や定型を絶対視しません、だからといって季節感や韻律を無視するものではなく、却って外形的制約を捨てて、己の内に季節感や韻律を求めるという厳しさを含みます。この点が戦後の自由放埓と全く相容れず、自律の修練が求められるのだと考えています。逆説的に言えば、「自由律は自由ではない」といえると思います。

 「草原」では、その作家の文学的発達を促すために、是非を明らかにします。こうした基準があるからと信頼していただける方がメンバーとなり、続けておられるということです。
だから、どんな作品でも、ただ「良いですね」とは言いません。いいものはどこが良い。直した方がいい点はなぜそうなのかを指摘します。そのことがその作家に対する誠意であり作品に対する礼儀だと考えます。

 私が、そうした気持ちで、他の方句に意見を言ったとき、「そういう意見もあるのか、関心を持ってくれてありがたい」と考えてもらえると期待することが、必ずしも当たり前でないことがあります。これも戦後私たちが染まってきた、自由と民主の概念に対して違和感を覚えることです。自分や自作には良いという以外の意見や反論を許さないというこの空気は何でしょうか。日本の社会の空気が幼くなって、自由律俳句でさえ小学校の自由詩とまちがえている人が増えたのでしょうね。

 即ち、自由であるから、自由詩のように思いつきで自由に自分が好きなように作れる。また、俳句のように趣味的に惰性的に作れる。更に拙いことに、現代では個性を尊ぶ民主主義の意識で、良し悪しの評価を嫌う。突き詰めることをしない表面的な風潮なので、より文芸的に価値のある表現になるように自分を磨くことに積極的でないように思えます。
 確かに、すばらしい文芸はあるとは誰でも認めると思われるのですが、なぜ自分の作品に関しては、そうした鑑賞を認めることができないのでしょうか。
メンテ
【自由律俳句クラブ群妙】 代表 富永 鳩山 ( No.8 )
日時: 2009/02/23 17:55
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【自由律俳句クラブ群妙】   代表 富永 鳩山

 本州の西の端、山口県防府市は山頭火の生誕地、私はこの地で生まれ育ち、三十年前に「山頭火研究会」を立ち上げました。これがやがて不条理の世界に足を踏み入れることになるとは夢にも思いませんでした。立ち上げた数日後から、「何を考えているんだ、あんな乞食坊主、俳句の基本も知らない、防府の恥だ」と山頭火生誕百二十年記念祭を催行した五年前まで屈辱の言葉をかけられ続けました。

 今では山頭火の名前は多くの人々に定着してきました。一昨年、山口県が国民文化祭を開催した折、防府市は「山頭火と自由律俳句全国大会」を提案し、実現しましたが、一般市民の方に自由律俳句が分かってもらえない、そこで地元のFMラジオで毎週一時間番組を四十回、図書館で「自由律俳句入門講座」を始め、講演や説明会を開いてやっと国民文化祭に漕ぎ着けました。

 自由律俳句の現状を訴えてきましたが、多くの方から、自由律俳句の運動体を立ち上げたら、との声に後押しされ「自由律俳句クラブ群妙」を上梓することになりました。よって「群妙」は結社でなく、もちろん利益団体でもなく、自由律俳句を何とかしようという「志」の運動体です。

 ためしに近所で「山頭火の俳句は、放哉の俳句はどんな俳句ですか?」と聞いてください。「え、あれは俳句ではないでしょう?」といったことになりましょう。「自由律俳句」です。と言えば、「初めて聞きました」と答えが返ってくるでしょう。学校でも「はい五・七・五」「季語」を入れましょう。と教えた方が手っ取り早い。新聞にもテレビにも自由律俳句の発表の場がない。戦後六十三年、自由律俳句は消されたまま、俳句の上に「自由」を載せたまま、どこにも俳句らしさのかけらもない、と言われるままです。

 各結社には信念、信条がある。みんな筋が通っています。私の運動はそんな素晴らしい自由律をこのままにするのではなく、文学として広く社会に認知してもらおうということです。芭蕉や子規が懸命に文学として改革に汗を流し、近代では井泉水や一碧楼が時代に即した文学を構築しました。

 定型律もいいでしょう。しかし、たかだか一人の約束ごとです。自分の人生です。自分の心の姿ぐらい自分の言葉で、自分のリズムで表現するのが自然でしょう。短詩型文学ですから、表現ですから、伝わりやすく共感を得る言葉を選ぶ努力は必要です。「海紅」の皆さんにとってはあたりまえのことでしょう。問題は自由律が社会的に本当に認知されているだろうか、なんです。

 この運動を通して、様々な場面に遭遇します。「あなたは俳句の基本がわかっていない」「俳句を作るには正しい型、正しい季語を勉強しなさい」何も研究してない人の言葉はこうなります。残念ながら日本の社会はこの域からまだ抜けていないのです。
 この度、「海紅」の代表中塚唯人氏は早くから、この現状に思いを馳せて、昨年、浜松の口語俳句フォーラムで決意を表明され、今年五月に第一回東京自由律句会を開催されました。それぞれの結社から出席され、それまで確かな認識のなかった結社の皆さんとの交流が実現し、大きな一歩を踏み出したと感激しております。自由律は今後も時代の洗礼を受け、変容するでしょう。今、行動を起こさなければ自由律はその居場所をいずれは失うことになります。自由律俳句クラブ群妙は皆さんの「志」を応援する運動体です。一緒に頑張りましょう。
メンテ
Re: 第一回東京自由律俳句会 ( No.9 )
日時: 2009/02/23 18:02
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

第二回『東京自由律俳句会』お知らせ

 本年五月に自由律界歴史上初めての試みである「第一回東京自由律俳句会」が、自由律を愛する多くの方の熱意によって開催されました。本会での春は句会、秋は勉強会を中心にとの提案により下記要領にて「第二回東京自由律俳句会」を開催致します。
 今回は『自由律への提言』とテーマを定め、「草原」そねだゆ氏、「自由律俳句会群妙」富永鳩山氏、「ぎんなん句会・ももの会」の内藤邦生氏、「海紅」中塚唯人氏による発言に対し(予定)参加者全員で話し合い、提言のための提言、会のための会でなく一つでも実現できることを徹底的に討論し実行に移したいと思います。
 今、自由律界に於いて何が行われているか、何がなされねばいけないか興味のある方はどなたでもご参加下さい。お待ちしております。

1日時 平成20年11月23日(日)
        午後1時より5時まで
2会場 江東区芭蕉記念館 1階会議室
    住所〒135-0006東京都江東区常盤1−6−3
    電話03−3631−1448
    地下鉄 都営新宿線・都営大江戸線 森下駅A1出口より徒歩7分
        東京メトロ営団半蔵門線 清澄白河駅清澄通り改札口下車
                    A1出口より徒歩10分
3参加費 1.000円(資料代含む)
4出句料 1.000円―2句1組で未発表のもの
 ※出句のみの方は1.000円を下記住所にご送金下さい。後日大会資料をお送りします。
 ※当日参加される方は合計2.000円(出句無しで参加だけの方1.000円)を会場でお受け致します。
5応募要領 官製葉書に下記要領でご記入下さい。
  (メールでもFAXでも可。下記書式にてアドレス
      「ぎんなん句会」吉多紀彦kodaiyoshida@hotmail.com宛)

※懇親会は会の終了後、同場所で5時開始7時終了予定です。(費用3.000円)
6,連絡先〒194−0045東京都町田市南成瀬2―26―2電話・FAX:042―726―4562
7,締切 平成20年10月15日(期限厳守でお願いします。)

8,協賛(アイウエオ順)
  海紅各句会・北九州句会・ぎんなん句会・自由律俳句クラブ群妙・しらゆ    り句会・ 草原・ももの会
              司会進行 ぎんなん句会
メンテ

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